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【渦巻きポンプの基本】構造や種類、特徴について

【渦巻きポンプの基本】構造や種類、特徴について
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渦巻きポンプとは

渦巻きポンプの種類や仕組み、構造について解説する前に、まずはその他のポンプを含めたポンプの中の、渦巻きポンプの位置づけを説明します。

ポンプの種類

ポンプは原理や構造により、大きく下記の3種類に分けられます。

・非容積式(ターボ)ポンプ

羽根車をケーシング内で回転させ、液体にエネルギーを与えるポンプ。

・容積式ポンプ

一定の空間容積にある液を往復運動または回転運動にて容積変化させ液体にエネルギーを与えるポンプ。

・特殊型ポンプ

水あるいは蒸気のジェット噴射力や、圧縮した空気を利用したポンプ。

また、非容積式(ターボ)ポンプの中でもさらに3種類に分けられます。

・遠心ポンプ

羽根車から吐き出される流れが主として主軸に垂直な内面にあるポンプ。

・斜流ポンプ

羽根車から吐き出される流れが主軸の中心線を軸とする円すい面内にあるポンプ。

・軸流ポンプ

羽根車から吐き出される流れが主軸と同心の円筒面内にあるポンプ。


渦巻ポンプは、この中の遠心ポンプに分類されます。

渦巻きポンプの特徴

渦巻きポンプはインペラをケーシング内で回す事で、遠心力を発生させることで送液するポンプです。

高速回転のため比較的連続流ですが、吸い上げ・押し上げ揚程は比較的低く、負荷によって流量が大きく変動します。

そのため、圧力や定量性は低いものの、大流量の媒体を流す事に適したポンプです。

渦巻きポンプの種類

渦巻きポンプは以下の2種類に分けられ、それぞれ異なった用途で使用されています。

遠心ポンプ

遠心ポンプは、原理的に渦巻き型ポンプと同じです。
外側のケーシングに液体を吸い込んで遠心力によって圧力をかけていきます。

代表的な機種では、ワーマンポンプなどがあり、コンパクトで大容量な運転範囲を持ち、耐久性に優れ、酸性・アルカリ性などあらゆる液体およびスラリーを効率よく輸送することができます。

用途としては、排水処理設備・高濃度スラリー移送・苛性ソーダ等のアルカリ性溶液・塩酸等の酸性溶液の移送などが考えられます。

水中ポンプ

水中ポンプとは、汚水汚物用に使用される水中ポンプとして最も長い歴史を持つポンプであり、ポンプ口径及び出力の種類も豊富で、多くの用途に採用されています。

その特徴としては、羽根車内の羽根枚数を少なくし羽根高さを大きくすることで、羽根車内の通過空間を極力大きくしたことにあります。

羽根車の構造によって、羽根車の羽根翼を固定する円板が羽根上部の片面しかない構造の「セミオープン羽根」、
羽根車の羽根翼を固定する円板が羽根上部と下部の両面にある構造の「クローズ羽根」、
羽根車内の羽根枚数が1枚の「1枚羽根」などの種類があります。

用途は、下水処理場・上水道設備・食品工場・化学工場などです。

渦巻きポンプの構造・仕組み

渦巻きポンプの構造

渦巻きポンプを構成する部品には、下記のようなものがあります。

・羽根車(インペラー)
内部で回転することにより、水に遠心力を加えます。

・ケーシング(渦巻き状の容器)
羽根車から出た水を集約させ、送り出します。

・吸込口・吐出し口
水を吸い込む・吐き出す部分です。

・ライナーリング
羽車とケーシングに一定の空間を保ち吐出しが側からの圧力水が吸い込み側に漏れるのを最小限に抑えます

・グランドパッキン
圧力水が外部に漏れるのを防ぐ。パッキンの冷却と潤滑のために軸表面を伝わる程度の若干の液体を漏らしながら使用します。

・メカニカルシール
圧力水の漏れる量を、極小に抑えることができます。

・主軸(シャフト)
モーターの回転力を羽車に伝えます。

・軸受(ベアリング)
主軸や羽根車の加重や、運転中に発生する力を受けます。

・軸受け胴体
軸受の外輪を固定し、内輪とともに主軸がスムーズに回るようにする部品です。

・カップリング
モーターの回転力をポンプに伝えます。

渦巻きポンプの仕組み

高速で回転する羽根車から出た水の速度が、ケーシング内を通過するうちに徐々に減速して圧力に変換されます。
羽根車を回転させるためには主軸を通して外部につなぎ、モーター等で回します。
主軸を支える為に、軸受があります。
固定しているケーシングと回転している主軸の間から液が漏れるのを防ぐ為に軸シールをつけています。

A)ポンプ本体部(ケーシング、インペラー)

B)軸シール部(グランドパッキン、メカシール等)

C)軸受け部(ベアリング、ハウジング等)に分けられます。


これらは、ポンプ能力(吐出し量、全揚程)、液性(粘度、比重、スラリー等)など の条件で最も効率良く設計する為、様々な形状・構造があり、使用される材料も種々あります。
渦巻き型ポンプは、羽根車が一つのものを「単段」、2つ以上のものを「多段」といい、その中から用途にあった揚程の高さや運転効率などからポンプのタイプを選定します。

渦巻きポンプの設置・更新工事、補修メンテナンス事例

当社ではポンプ更新工事・メカニカルシール化工事などを実施しています。

その中の事例を一部ご紹介いたします。

施工事例①:渦巻きポンプ更新工事

お客様より、ポンプ購入とポンプ基礎を含む更新工事の依頼を頂きました。

そこで、当社の協力企業様にポンプの製造をご依頼し、施工いただきました。
ポンプの基礎工事及び設置工事は当社にて行いました。

腐食していた旧渦巻きポンプ3台の取り外し工事を行った後、新しい渦巻きポンプを設置するための基礎を手直しし、新作した据付ベースとポンプを設置しました。

>>>この事例の詳細はこちら

施工事例②:渦巻きポンプ2ツ割メカニカルシール化工事

お客様より、渦巻きポンプの漏水が頻繁に起こっているため改善してほしいとのご依頼をいただきました。

ただ修理するだけでなく、長く使用できるようにし、さらに周囲の環境への配慮やコストダウンも行いたいというご要望もいただいたため、渦巻きポンプの仕様を変更する必要がありました。

現地調査を行った結果、シールの長寿命化、省エネ・環境美化のためには、グランドパッキン仕様の両持ち渦巻きポンプを2ツ割メカニカルシールに改造する必要があると判断し、施工に取り掛かりました。

>>>この事例の詳細はこちら

渦巻きポンプの工事・メンテナンスは当社にお任せください!

当社ではこれまでに、渦巻きポンプについて多数の工事・メンテナンスを行ってきた実績がございます。

渦巻きポンプの設置や補修についてお困りの方はぜひ一度ご相談ください。